後立山周辺(新潟) 大前山(1151.6m) 2018年10月28日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:06 ヒワ平駐車場−−6:35 大前山(三角点探索) 6:44−−7:08 ヒワ平駐車場

場所新潟県糸魚川市
年月日2018年10月28日 日帰り
天候曇時々晴
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場ヒワ平駐車場に駐車
登山道の有無無し
籔の有無灌木、笹、蔓+根曲がり竹の藪。尾根直上は藪がひどいので西側直下の廃林道?や獣道を利用しないと短距離なのにかなり厳しい
危険個所の有無無し
山頂の展望無し
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメントヒワ平冬季ゲートから往復。既にゲートは冬季閉鎖されていて蓮華温泉は今年の営業終了。ヒワ平には駐車場と展望台があり、聖山〜黒負山〜五輪山〜朝日岳〜雪倉岳〜小蓮華山の山並みが広がる。林道〜大前山間は藪が続く。特に1170m峰周囲は濃い根曲がり竹+蔓藪でナタの出番あり。尾根がばらけて方位磁石必携。山頂も緩やかで明瞭なピークは無く、薄い藪の中を這いずり回って三角点を探したが発見できず。GPSのログを見る限り三角点のほぼ真上を通っているはずなのだが・・・




無人のヒワ平駐車場 1210m峰まで遊歩道あり
1210m峰の標識は外されていた ここから尾根を下る
最初は藪は薄く歩きやすい 尾根西側直下に獣道あり
標高1090m付近。まだ笹で歩きやすい 1160m鞍部の谷地形。ここは藪無しで快適
1170m峰周辺は蔓が絡む根曲がり竹密集帯 1170m峰付近は平坦で進行方向注意
1150m付近。尾根西側直下に廃林道?あり 山頂手前1140m鞍部。根曲がり竹地獄
まもなく山頂というところでカヤト藪へ 伐採された木。人の手が入った証拠
大前山山頂。伐採され草が生い茂る 山頂のワイヤー
1140m鞍部の山ぶどう。いくつかいただく 1160m付近。根曲がり竹と格闘中
廃林道?に出ると快調 1160m鞍部付近で廃林道?終点。根曲がり竹へ突入
古いペットボトル発見 1180m付近。藪が薄まり歩きやすくなる
紅葉がピーク ヒワ平直下
ヒワ平から見た雪倉岳 ヒワ平から見たツリコシ沢
ヒワ平から見た後立山最北部
ヒワ平から見た海谷山塊
ヒワ平到着 ヒワ平から大前山山頂まで570m
ヒワ平冬季ゲート。今年は10/22に閉鎖済 大所川沿いの林道入口

 糸魚川の蓮華温泉に通じる県道(林道)の冬期ゲートが存在するのがヒワ平で、ここから北に伸びる尾根上にあるのが大前山。いつも蓮華温泉に車で入るときに気になっていた山だが、夏場は薮が濃く涼しくなってからと考えているうちに雪が来てしまい、車で入れなくなるパターンが何年も続いていた。林道からすぐ近くていつでも登れると軽く考えて後回しにしてきた影響もある。しかし今回は日曜日は用事があって午前中の早い時刻に帰る必要があり、所用時間の短いであろう大前山を選択した。ただし長野からヒワ平まで車での距離があるのは難点だが。でも片道2時間はかかならいので、日の出と同時に薮に突入すれば午前9時くらいには自宅に帰れるはずだ。短距離なので薮が深いとしても往復1時間程度と見た。地図上では林道から山頂までの距離は約600mだった。

 蓮華温泉への林道の冬期閉鎖期間は長く、調べてみると今年は10/22に既に閉鎖されていた。ただし、ゲートがあるにはヒワなので今回の計画に影響はない。なお、例年だと開通は6月下旬であり、その頃には尾根上の雪は全部消えて薮の緑の勢いが強くなってしまうため、春よりも秋の方がこの山に相応しいだろう。

 堀切山から下山後、一度帰宅して風呂に入り天気予報を確認して出発。新潟は曇りの予報だが北ほど寒気の影響が強く、西に位置する糸魚川は比較的影響が出難いし、今回は標高が低いので雲には入らないと予想した。ただし後立山の稜線は雪雲の中だろうなぁ。白馬から国道148号線を北上、最近は糸魚川市街まで出て国道8号線に入ることが多かったが、今回は久しぶりに手前で降りる。何度も通った道なのでカーナビの助けは不要で、トンネル群を抜けて姫川温泉の案内で右に入り、橋を渡って右折、あとはゲートまで1本道。木地屋集落を抜ければ濡れた落ち葉の積もった林道で、滑りやすいのでカーブでは特に要注意。前も後ろも車は皆無で真っ暗。もう蓮華温泉の今年の営業は終わっているので、この林道に用事があるのは茸取りの車くらいだろうか。

 白池を通過し、なおもウネウネと林道を進んで左に鋭くカーブする個所がヒワ平。樹林が開けた場所で駐車場があるが、当然ながら車は皆無。すぐ先のゲートは確かに閉まっていた。まだ雪や凍結まで時間があると思うのだが、閉めるのが早すぎないだろうか。駐車場は西寄りの強風が吹き付けて雨粒も時々落ちてくるが、頭上は星が見えているので後立山稜線の雲から飛ばされてきた雨粒らしい。もっとも、稜線は雨ではなく雪だろうけど。風が強いので薮が朝露で濡れる心配はなさそうだが、飛ばされくる雨粒で濡れてしまう。さて、明日は雨具を着て薮漕ぎになるのかなぁ。まあ、短時間だからそれでもいいけど。今回はそれも考慮して長靴も積んできたし。

 既に外気温は+10℃を割り冷えているので、久しぶりに防寒着を着込んでシュラフに潜り込んだ。時々強風で車体が揺れるが、夜半からは風も収まって静かになっていった。この時期は周囲が十分明るくなるのは朝6時くらいなので、5時半起床で6時出発とした。

 翌朝、早めに目覚めてお湯を沸かして暖かい飲み物で体を温めてから出発。風はすっかり止んで静かだが、西に聳える後立山の稜線は雪雲に隠れていて、朝日岳より北側の標高が高い場所は薄っすらと雪化粧していた。たぶん今シーズン初めての強い冬型だろう。これからアルプスは本格的な冬を迎える。

 まずは展望台で写真撮影してから出発。夏場はぼうぼうの深い緑の潅木薮で突入するのは躊躇された尾根入口だが、今は落葉が進んでそれほどの薮には見えない程度に落ち着いていた。まだ完全に落葉したわけではないが、半分程度は葉が落ちて視界が得られるのはありがたい。

 潅木薮に突入すると意外にも笹や根曲がり竹は無くて矮小な自然林が中心で思いのほか歩きやすい植生だった。しかも尾根西側直下には薮を避けるように明瞭な獣道があり、尾根直上よりさらに植生が薄くて昨日の堀切山のような歩き易さ。このままの植生が続けば5〜10分くらいで山頂到着だろうと思えるほど。ちなみに偶然ではあるが昨日の堀切山と本日の大前山の標高はほぼ同じである。

 獣道を快調に下っていくが、傾斜がきつくなる1190m付近で西斜面の傾斜がきつくなり、獣道があやふやになると同時に植生が切り替わり、胸の高さの笹が登場する。しかし密度はまだまだで大した障害にならなかった。さらには笹はほぼ乾いていて、これなら雨具不要で快適に薮漕ぎ可能だ。

 しかし快適だったのはここの一帯までで、標高1180m付近から傾斜が緩んで尾根がバラける付近から根曲がり竹が登場。最初は低密度で手でかき分けるのも容易だったが進むに従って徐々に濃くなっていく。おまけに尾根が広く、尾根直上がどこなのか目視では判断できない。こんな時こそ方位磁石の出番なのだが、つい最近まで夏山の北アルプスしか歩いていなかったため、使う必要が無い方位磁石は車に置いたままであった! 温度計にも方位磁石がおまけ程度についているのだが、昔は使えたのだが今は精度が低下して信頼性がほぼ無い。水平を保って指示が回転しやすいようにしても、妙な方向で引っかかって止まってしまうのであった。腕時計兼用の高度計にも方位磁石は付いているが、こいつは校正しないと正しい方位を示さないはず。方位磁石機能は使ったことが無いので校正手順を知らないためこれまた使えず。とりあえず校正無しで試してみたらそれなりの方向を示したので今回はそれを信用することにしたが、今後は方位磁石をちゃんと準備しよう。

 傾斜が無くなると木が生えていない凹地を発見。大雨の時には水が溜まるかもしれないが、今は普通の地面で藪皆無で歩きやすいが、残念ながら谷地形は長続きせず、再び根曲がり竹藪に突入する。根曲がり竹だけでも強固な薮だが、これに蔓が混じっているので厄介だった。標高が低いとこれが出てくるから困るが、今回はこれも想定して久しぶりにナタを持ってきた。蔓は粘りがあり人力で引き千切るのはほぼ不可能で、潜るか踏み越えるか切るしかない。かなり濃い薮なので右手はナタを持ったままにしたいが、この薮の中で防護無しの刃物はかなり危険。薮に足を取られてバランスを崩すなど当たり前の光景だからだ。ナタの使用は最小限にして、できるだけ蔓薮を迂回して進んでいくが、尾根が狭まる1170m峰を越えるまでは予想以上の苦労だった。標高は同じなのに昨日の堀切山とは大違いだ。特に尾根中心を外したことが明らかになり西へ進路変更したときは、斜面下側を向いた根曲がり潅木の突破に難儀した。林道から僅か数100mしかない近距離の山頂だが、これほど苦労するとは予想以上だった。この付近は志賀高原を彷彿とさせるレベルの根曲がり竹であった。

 尾根幅が狭まり地形の読みが容易になると、もしかしたら出だしと同様に尾根西側に獣道があるのではと思い、西に進路を取って僅かに下るとまるで廃林道のように平坦な広い筋が登場。今は根曲がり竹や潅木に覆われているが、法面の状況からして廃林道にほぼ間違いないと思う。ここは尾根直上より根曲がり竹の密度はずっと低く、特に法面付近はその密度が低くて快適に歩けた。これがどこまで伸びているのかは不明だが、県道と続いてれば復路は大幅に薮漕ぎが軽減できそうだ。帰りに調査してみよう。

 さらに下って右側(東側)の尾根が廃林道と同じ高さに来ると廃林道は消失、いや、実際には周囲も平坦になって廃林道の痕跡と区別が付かなくなったのだ。この合流点付近は再び濃い根曲がり竹薮だがその距離は短く、その後は少し湿った冬枯れしたカヤトに変わり、格段に歩きやすくなった。もう山頂とほぼ同じ高さのようで、進む先には明瞭なピークは見えない。

 そこから僅かで立ち木が無く草ぼうぼうの開けた広場に到着。いかにも三角点がありそうな光景だ。足元を見ると切り口がきれいな木が横たわっていて、おそらくはこの付近は昔に伐採されたのだろう。だから高い木が存在せず草なのだろう。草が深く三角点は目視で確認できないのでGPSの出番。表示を見ると山頂まで20mほど北とのことで、枯れかけた草地をさらに進んでGPSのゼロ地点に到着。山頂標識はおろか目印も無く、近年に人が入った形跡はなかった。しかしワイヤーが巻き付いた木が横たわっていて、遠い昔は林道経由でここまで作業車は入れたのだろう。それから三角点を探して10分ほど、GPSを見ながら周囲を動き回ったが残念ながら三角点は発見できなかった。帰宅後にGPSの軌跡を地図上に落として確認したが、三角点のほぼ真上を通っていたし、ごく近距離を何度も通過していた。おそらく薮に埋もれるか、土に埋もれていたのだろう。三角点は残念だったが山頂に立てたのだから満足。残念ながら山頂付近の草薮周囲は立ち木に囲まれて展望は無かった。

 帰りは予定通り廃林道がどこまで伸びているのか確認することにして、尾根が狭まり立ち上がるところで右(西)にずれて廃林道に乗るが、その手前の短距離根曲がり竹地獄で山葡萄を発見。蔓薮の一部は葡萄だったのだった。野生種なので栽培種とは違って実は小さく種の割合がでかいが、味の方はなかなかのものだった。山葡萄を見かけることはそれなりの頻度であるが、通常は蔓が立ち木に巻き付いて実が生るのは木の高い場所であり、手が届く場所に実が生っているのを見るのは非常に珍しい。普通は長い棒で叩き落として収穫するのであった。

 廃林道は相変わらず歩きやすい。このまま林道まで・・・と期待したが残念ながらそうは問屋が卸さない。1170m峰を巻いて再び尾根が収束して傾斜が出るところで笹薮の中に消失してしまった。その後の地形からして、おそらくここが廃林道終点と思われた。昔の林道は上からではなく下から伸びていたようだ。残念。でも廃林道終点より先は恐怖の根曲がり竹地獄はなく、かき分けやすい笹原を通過すれば笹が消えて獣道の登場する落葉樹林帯に変わってくれた。往路もここを通れば労力削減できただろうに。廃林道終点にたどり着くコツは尾根の西側直下を進むことだが、尾根がバラけた地形の下りでこれを探し当てるのは至難の業に違いない。

 紅葉して明るい落葉樹林を登り切れば展望台到着。まだ日が低いので丸倉山のてっぺんに日差しは達していなかった。後立山の雪雲は僅かに減ったようにも思えるが大きな変化は無し。赤男山山頂も雪雲に覆われている。五輪山より東はまだ白いものは見られないが、次の寒気が入る頃には白くなっているかな。

 当然の如く駐車場の車は私のものだけ。知らずに蓮華温泉方面へ上がってくる車がいるかもしれないと思ったが、運転していてすれ違った車は皆無だった。でも白池には3台の車あり。写真だろうか、それとも茸取りだろうか。他に路側に駐車した車が数台あった。


まとめ
 車道から近い山ながら想定以上の強固な根曲がり竹に阻まれた、立派な藪山であった。たぶん通常の登山者では精神的に諦めてしまうレベル。帰宅後に初めてネット検索したが、登山記録は1件も発見できなかった。残雪期なら薮を避けて容易に登頂でききるだろうが問題はアプローチで、除雪は木地屋集落までしか行わないので車で入れるようになる頃には尾根の雪が消えてしまう。木地屋から歩けばいいが、あの距離を雪の上を歩くのは通常の神経ではちょっと・・・・。今後も登る人はほとんどいないままだろう。

 今回の経験で、尾根直上ではなく直下西側を巻くのがかなり得策と判明。kumo氏やDJF氏以外にここを登る人がいるとも思えないが、もし登る人が入れば大いに参考になるだろう。

 

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